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寿退社したかった私がDINKsになって知った「人生のど真ん中を歩く」ということ くどうみやこさんインタビュー

インタビュー記事

2024.10.09

インタビュー
子どもを持たない選択をする人たちのためのマッチングアプリ「ディンクスマッチ」がおくるディンクスマッチコラム。
第一回目は、子どものいない
女性の生き方を応援する「マダネ プロジェクト」主宰のくどうみやこさん。歳を追うごと、そして自身の置かれている状況や環境によって変化するリアルな心情を赤裸々に語っていただきました。
世代を超えて多くの女性の共感を生んだ『産まないことは「逃げ」ですか?』(ベストセラーズ)の著者で、人気コラムニストの吉田潮さんに取材いただきました。

トレンドウォッチャーとしてメディアで活躍するくどうみやこさん。独自の分析とマーケティングで集約した鮮度の高い情報を発信しています。また、ご自身の経験をもとに、子どものいない女性の生き方を応援する「マダネ プロジェクト」を主宰。声をあげにくかった女性たちに寄り添う活動にも力を入れています。2017年に、子どものいない女性たちの声を多角的にまとめた『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』(主婦の友社)を上梓し、話題を呼びました。

そんなくどうさんに「子どもを持たない生き方」にたどりついた経緯、現在の充実したディンクスライフについてお話をうかがいました。

一緒に住んでいるけれど、できるだけズレたい

――くどうさんのディンクスライフ、どんな毎日ですか?
今は生活リズムがまったく逆です。1歳下の夫は朝4時か5時に起きて、20時か21時に寝る、早寝早起きタイプです。私は夜型だから、夫が寝たのを確認して、そこから仕事を始めたりします。だから、一緒にいてもそんなにかち合う時間がないので、私にとってはちょうどいい。すれ違いの生活を楽しんでいる感じです。

たまにふたりで映画を観に行きますが、一緒に行っても席はものすごく離れて座ります。だって、お互いの好きな席が違うから。彼は前の方の中央で観たい人、私は端っこがいい人。そういう感じが心地いい。で、映画が終わったら一緒に帰る。

私は基本的に「ひとりが好き」で、パーソナルスペースが広いタイプ。一緒に住んではいますが、できるだけズレてひとり時間を増やしたい。夫も自分の時間を楽しめる人ですからね。

――夫婦や家族である前に「個」を尊重し合うご夫婦なんですね。夫婦仲良く並んで手をつないで、みたいなイメージはちょっと違うかな。たとえ夫婦であっても、それぞれが「個」として立っていて、必要なときに支え合い、つながっている関係性というか。結果的に私たちは子どもがいない人生を歩いていますが、いろいろと考えると、「私、いない人生が合ってる」って思ったんですよね。だって、子どもがいたら、ズレやひとり時間を存分に楽しむなんてできないでしょう?

夫は休日に家でごろごろして、YouTubeをずっと観ています。「せめて本でも読めばいいのに」と密かに思うけれど、彼の自由な時間だし、逆に「ちょっと疲れてるのかな?」と気遣う余裕も生まれます。夫が無駄な買い物をしたとしても、「私も買ってるしな」と流せる。お互いに寛容というか、許せる範囲が広いんですよ。

もし子どもがいて同じ状況だったら、夫にブチギレてると思います。「子どもの面倒見てよ!」とか「無駄遣いしないで!」とかね。些末なことでイラっとしてケンカしがちだったと思うんですよね。今は平穏を保てる。いちいちつっかからずにお互いが自分の時間を穏やかに過ごす生活です。「子どものいない生活が私には合ってる」と感じる場面が多くて、結果的には「いなくてよかったのかも」と思えるようになりました。

「結婚して子どもを持つのが当たり前」という刷り込み

――そもそも、くどうさんはどんな結婚観をもっていたのでしょうか。
実は、10代の頃から「早く結婚したい」と思っていました。「結婚して子どもを持つのが普通で当たり前、それが女の幸せよ」ということを親や社会から言われてきた昭和生まれなので。何も考えず、疑問ももたず、自然に私もそうなると思っていました。今思えば、刷り込みですが、結婚しない女性や子どもがいない女性が身近にいなかったことも大きいですね。いてもごく少数で、バリバリ働く強いキャリアウーマンというイメージ。「自分はそうなれないし、無理!」と思っていましたから。

大きな企業に就職しましたが、腰掛けOL気分ですよ。早くいい人を見つけて辞めたかった。20代のうちに寿退社&専業主婦になって子供を産む、が目標でした。妄想して子どもの名前まで考えていましたからね。これからは海外でも通用する名前がいいな、女の子だったらリサかな、なんてね。

――寿退社計画はうまくいったんですか?
いかなかったんですよね。「30歳までに結婚」と思っていたのに、20代後半で仕事の面白さに気づいてしまったから。たまたま知人がアパレル業界にいて、「プレスの人材を探している」と声をかけてくれたので、思いきって転職したんですよね。

それまでは男性優位社会、大企業の宣伝部に勤めていて、女性はあくまで補助的な仕事のみ。アパレル業界は真逆で女性優位社会。上司だった女性が業界を牛耳るくらいに顔が広く、絵に描いたようなバリバリのキャリアウーマンでした。衝撃を受けて、今までの価値観がひっくり返りました。映画『プラダを着た悪魔』のメリル・ストリープ、まさにあんな感じ。厳しい人なので、下についた人がどんどん辞めていく状況でしたが、彼女に仕事の面白さを教えてもらいましたね。

この頃には「もう結婚はいつでもいい」と急速に結婚願望が弱まっていました。

両親に突き飛ばされて結婚。フリーランスで軌道にのる

――当時お付き合いしている人はいなかったんですか?
いえ、今の夫と付き合っていました。私も彼も「いずれは結婚するだろうな」とふんわりした感じで。ところが、ですよ。私の両親は東北出身、彼の両親は九州出身、まさに「THE昭和」の価値観を持っている世代です。その親たちの方が焦り始めて、じわじわと圧をかけてきたんです。うちの親は「娘と結婚する気はあるの⁉」と彼に詰め寄ったり、彼の親は「お父さんが定年前で現役のうちに挙式を!」とか「ちゃんと責任をとりなさい!」とか双方からのプレッシャーが強まってきて。「そんなに言うなら結婚するよ!」と急展開で結婚式の日取りを決めることになって。親に背中を押されて、というよりは突き飛ばされて、30代前半で結婚しました。「結婚は勢い」といわれるように、確かにあのW両親からの強力な後押しがなければ、結婚のタイミングを逃していたかもしれません。

――そこで子どもを持つ・持たないという話はしたんですか?
将来的にはほしいね、くらい。結婚したことで両親も安心してくれたし、彼も私も「今すぐほしい」モードではなかった。彼の仕事の都合で神奈川県・湘南エリアに住み、私は東京の青山まで通っていましたが、毎日終電で帰る日々。体力がもたず、フリーランスに転向しました。

当時はインターネットバブル。これからは情報発信もネットの時代と思って、私もプログラミングの学校に通って勉強しました。個人で情報発信できる時代がくると考えたんです。まだネット黎明期で、Yahoo!が掲載する情報サイトの数も少なくて。そこで私が作ったサイトが掲載され、仕事の依頼が増えて一気に忙しくなったんです。

――子どもを産むどころではなかった……?
フリーランスで産休も育休もないですからね。せっかく頑張ったのに、子どもができて休んだら、今まで積み上げてきたことがリセットされてしまう不安も大きくて。「ほしいけど今できたら困る」という心境。それが30代のときです。

結婚については急かしてきた親たちでしたが、子どもに関しては気を遣ってくれていましたね。「孫はまだか?」みたいに直接は言わないけれど、さりげなく「子どもができないなら病院に行ってみたらどうかしら?」って。心配してくれていたんでしょうね。

――キャリアの中断は誰もが悩むところですが、気持ちに変化も生じてきた?
夫も私も子どもを望んではいるけれど、「今は忙しい」。30代後半になると、「いてもいなくてもどっちでもいいかも」、「いない人生もそんなに嫌じゃない」、「子どもがいない人生もありだな」と考え方が徐々に変わってきたんですよね。

夫は私よりもはるかに子ども好き。ほしかったことは間違いないけれど、自然の流れに任せていたし、「何事も無理せず好きにしていいよ」というタイプ。私と夫の間で、子どもを持つことに対する考え方に大きな違いがなかったから、よかったんでしょうね。やっぱり夫婦間で「子どもがほしい」熱意に差があると、溝ができるケースも多いですから。

自分らしく生きる、自分の道のセンターを歩く

――子どものいない人生を決めたのはいつぐらいですか?
40代に入って間もない頃、検診で子宮の病気が見つかりまして。「産むことはあきらめて命を優先して」と手術を勧められました。子どもがいてもいなくてもいい、くらいに思っていたはずなのに、改めて「あなたはもう産むことは無理です」という現実を突きつけられて、動揺しましたね。「どうして私はぽやぽやふんわりと生きてきたんだろう」と後悔もしました。後悔というか反省かな。子どものことも、自分の体のことも。それが42歳くらいのときでした。

――ご自身の気持ちにどうやって踏ん切りをつけたのでしょうか。
もちろん落ち込みましたが、割と冷静に考えました。決定打は病気ですが、病気にならなくても子どもができなかった可能性も高い。私は世の中の空気感を分析する仕事をしているので、「これからはライフコースが多種多様の時代がくるだろうな。“子どもがいるのが当たり前”から“子どもがいてもいなくてもいい”に代わっていくはず!」と考えました。自分事なのに、引きの視点というか、俯瞰できたんですよ。

産めない事実は変えられない。だったら、いかに楽しむか、子どものいない人生を自分らしく生きようという思考に変えようと思って。立ち直るのは早かったですね。

子どものことに限らず、私は「トライアンドエラー」タイプだなと、最近思うんですよね。まずやってみよう、それでダメなら引き返せばいいし、ダメだとわかったらそれが学びにもなるから、視点や方向性をちょっと変えていこう、って考えるんです。

――自分の変化も受けとめて、前向きにシフトする力がすごいと思います。主宰する「マダネ プロジェクト」の活動の源にもなったんですね。
子どもを持たない人生を歩む女性たちの中には、表面上は普通にしているけど、思いを口にできずに苦しんでいる人がたくさんいます。だから私がお話を聞いて、代弁して、発信しようと考えたのが始まり。

あとは、子どもがいる人生がメインストリームのような価値観がまだあって、子どもがいない人は端っこで目立たないようにする、みたいなイメージがあった。でも誰もが自分の道のセンターを歩いているということを伝えたかった。多彩なライフコースの中のひとつとして、もっと世間に認知してほしいと思ったんです。

言葉にして本音で向き合うこと

――子どもを望まない人同士では、何を大事にしたらいいと思いますか?
価値観は人それぞれですが、「寄り添う」ことは重要だと思います。よく聞く悩みは、パートナーと話が通じない、向き合ってくれない、といったもの。女性は特にストレスを感じるようです。人生を併走しているという気持ちや態度を伝えることでしょうね。

女性は思ったことを口にしないで、「言わなくても察してよ」と要求しがちです。男性は男性で相手の言外の意図を察したり、くみとるのが苦手。自分では伝えているつもりでも伝わっていないことが多い。悪気はないし、むしろ気遣って言わない「優しさ」があるんですよね。でもこれが割と問題になる。男性が「好きにしていいよ」「どっちでもいい」と言うと、女性には無関心や無責任に感じる。「優しさの放棄」みたいな感じですかね。突き放されたようで、女性は心細さを感じてしまうのです。

ゆだねるとしても「どうしてそう思うの?」とか、もう一歩踏み込んだ対話で、お互いの気持ちを引き出してあげるのがいいんじゃないかと思います。

実際に、お互いに言葉が足りなくて溝ができたご夫婦が、思いきって本音をぶつけあって向き合えるようになったケースもありました。できるだけ言葉にして本音を伝えること、それが寄り添うことじゃないでしょうか。

――子どもを持たない生き方にはセンシティブな部分もあり、口に出しづらい・相手に聞きにくいという課題も。未来のディンクスカップルにメッセージをお願いします。
夫婦のあり方って本当にいろいろなんですよね。もはや何が普通とか当たり前ではないし、正解もない。子どもがいてもいなくても、別々に暮らしていても、人それぞれの形や距離感がある。「ディンクスマッチ」はそもそも入口で価値観の共有があるから、次のステップに進めるメリットがありますよね。ふたりがより快適で楽しく生きる道をどう選ぶか。大人同士ですから、スムーズに対話を重ねていけると思います。

私は自分の考え方が20代、30代で変化していきましたし、40代で「自分らしく生きる」選択を受け容れました。仕事のタイミングで価値観が変わることも大いにあると思います。そんなときは「変化もありだよね」と肩の力を抜いて、ふたりで心地よい方向にシフトしてほしいですね。

個人的には、夫婦間では上下関係も主従関係もない「フラット」な関係をお勧めします。「人生を併走している」感覚を大切にして、よりよい関係を築いてください。

くどうさんの取材を終えて・・・
NHKの「あさイチ」に一緒に出演したことがあり、またお会いしたいと思っていたところです。柔軟かつ前向きなくどうさんに学ぶことがたくさんある取材でした。くどうさんの「個」を尊重する夫婦の在り方には共感する方も多いと思います。「妻」である前に「女」であり、「人間」であり、「わたし」であることを、改めて噛みしめました。ありがとうございました。

くどうみやこさん プロフィール

大人ライフプロデューサー/トレンドウォッチャー
大人世代のライフスタイルからマーケティングまで、時流やトレンドをとらえた独自の視点で情報を発信。子どものいない女性を応援する「マダネ プロジェクト」主宰。著書に『誰も教えてくれなかった 子どものいない人生の歩き方』『誰も教えてくれなかった 子どものいない女性の生き方』(主婦の友社)など。

オフィシャルサイト:http://www.kudo-miyako.com/
マダネ プロジェクト:http://www.madane.jp/

このコラムのライター

吉田 潮

吉田 潮

取材・文/吉田潮

1972年生まれ。健康・美容雑誌の編集を経て、2001年よりフリーランスに。ドラマ評を中心に「週刊新潮」「東京新聞」「ステラnet」などで連載中。NHK「ドキュメント72時間」のイラストも担当。著書に「親の介護をしないとダメですか?」(ベストセラーズ)、「ふがいないきょうだいに困ってる」(光文社)など。7歳上の夫とは別居婚13年目、いつか新婚生活を送る予定。

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